考える物置

日々あったどうでもいいことやどうでもよくないこと

024 ラブレター

 オフィス街の中、バキバキの高層ビルの中にオフィスを構えるパッとしない会社で働いているわけだが、少し歩くとディープっぽいスポットがあったりして、華やかな街並みにも土着感を覚える。

 高層ビルの足元には有名店の「東京に出店!」みたいな店が多数入店していると思われるが、少し歩いたガード下にはいくつかのチェーン店の中に野良犬感の強い店がいくつかあり、その中でもお気に入りがいかにもな東京ラーメンの「谷ラーメン」。

https://www.instagram.com/p/Bp4FkQ4gsnX/

 気分的には夜に「もうこれ以上無理です」といったときに腹に入れたくなる趣のラーメンだがラストオーダーは確か20時30分と思いのほか早く、気分の時にはなかなか辿り着けないタイミングの難しい店ではあるが、最近は昼食に行くことが度々あった。

 店先の券売機で食券を買い、相席になったおじさんが食事を終えて出がけに店主に「20年前と味変わってないですね」と言った。店主は「親父の代から受け継いでますから」と返した。おじさんは「近くに勤めてたときによく来てたんですよ。また来ます」と言って出ていった。たまたま仕事で近くまで来たんだろうな。

 今度は老夫婦が出がけに「本当においしかった」「営業時間は何時から何時までなんですか?」といったことを店主と話していた。老夫婦にとっても、華やかさの中で出会った土着感であろう。

 俺はもうすぐこの街で働くのは終わりの可能性が高いと思っているが、この街に久々にやってきたときに飯を食おうと思ったらたぶんこの店だと思う。

 なので、これからも親父さんの代からの味を守り続けてほしい、と思った。以上。